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この文章を作っている人間は長年にわたる精神疾患とそれがもたらす苦痛によって自我が大きく破損している。これは社会的には大変残念な人間になり果てる(具体的には仕事など社会的な活動においてほとんど役に立たない)ことを意味している。

一方で自我の力が小さくなっている分、真の自己が現れてくる余地が生じたのだ。真の自己は人に知覚をもたらすが、それ自身は何をも欲望しない。なのでこの人間は日に日に食べ物を受け付けなくなり、性的な刺激に対する興味が減退していき、口数が少なくなり、眠っている間もどこかが覚めていて夢を見なくなっている。今は気づきをふりかえり、あるいは誰かの役に立つ可能性を鑑みてこうして文章を綴っているが、それもじきに止むだろう。