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絶対無とか混沌、あるいは空、全体性などと呼ばれる何かがある。言語では正確にとらえることができないために呼び名はどうでもいいのだが、私たちが認識する前の万物のことでここでは「それ」としよう。

「それ」はこの世の何でもなく、何でもないからこそこの世の何にでもなり得る。私たちは概念、相対区別を持ち込むことで本来分離していない「それ」をバラバラにしてこの世界を存在させている。

「それ」においては何も死なないし、何も生まれてこない。清浄なものも汚れているものもない。増えたり減ったりしない。私たちが見たり聞いたり味わったり触れたりする、その感覚は本来分離していないものを分離しているということが前提となっている。この点をよくよく観察してみれば、それらが幻想だということがわかる。